小児矯正しても大人になってから後戻りしてしまうのですか?
新宿初台の歯医者さん、岡歯科医院です。
今回のテーマは「小児矯正と後戻り」です。
子どもの口の中の環境は、大人のそれと比べて異なる点が多々あります。
これは成長期の人とそうでない人との差であり、
そのため小児矯正をしても大人になってから後戻りが起こると考える人もいます。
そこで、ここでは小児矯正と後戻りについての解説をしていきます。
小児矯正の流れ
まず、小児矯正の流れを分かりやすく説明しておきます。
小児矯正は基本的に第一期治療と第二期治療に分けられているのが特徴で、
第一期治療にて顎の成長・歯並びを正常な方向へと促していきます。
これによって顎の骨や歯並びをある程度整えることができ、
治療後は永久歯が生えそろう時期まで経過観察を行うことになります。
そして、永久歯が生えそろった時点で第二期治療へと進み、ここから本格的な矯正を行っていきます。
第二期治療は大人の矯正と変わりないですが、第一期治療を経ていることから矯正しやすくなります。
例えば、大人の矯正に比べて治療期間が短くてすみますし、
非抜歯で矯正できる確率も高く、さらに状態次第では第二期治療が不要と診断されるケースもあるのです。
後戻りで考えられるケース
しっかり最後まで矯正すれば、子どもの時に矯正した歯が大人になってから元に戻ってしまうことはありません。
それでも小児矯正を行った子どもが大人になってから後戻りが起こった場合、原因として次のことが考えられます。
保定装置を使っていない
そもそも、矯正で動かした歯が元に戻るのは自然なことであり、これを後戻りと呼びます。
そこで、矯正が終わった後には後戻りを防ぐため、保定装置を装着した保定期間を設けて対処しています。
しかし、小児矯正で歯並びを改善しても保定装置を装着しなければ、歯並びはいずれ元に戻ってしまうでしょう。
歯を失っている
歯を失ってそのままにしていると、隣接していた歯が移動して歯並びが崩れます。
そのため、小児矯正で歯並びを改善してもその後に何らかの理由で歯を失った場合、
何も対処しなければ歯を失った影響で歯並びが悪くなってしまうのです。
日常生活の癖に問題がある
日常生活の何気ない癖の中には、歯並びに悪い影響を及ぼすものが存在します。
例えば、舌で歯を押し出す癖がある人は、継続的に行うことで歯が少しずつ移動してしまいますし、
頬杖やうつ伏せで寝る癖がある人は、顎に負担をかけて噛み合わせを悪くさせてしまうのです。
医師の判断ミス
患者さんにとっては、これが最も怖い原因になります。
考えられるパターンは、第二期治療を不要とした医師の診断が間違っていたケースです。
この場合、必要な第二期治療を行わなかったことで、歯並びの改善ができていないのです。
矯正の認定医・専門医について
上記で解説したとおり、小児矯正した子どもが大人になってから後戻りした場合、
原因の一つとして医師の判断ミスの可能性が考えられます。
そのため、矯正はレベルの高い医師からの治療を希望する人も多く、その参考になるのが認定医・専門医です。
日本矯正歯科学会では認定医・専門医制度を設けており、
これらの資格は一定の基準を満たした医師のみ与えられるものになっています。
<認定医の基準>
- 歯科医師免許を有すること
- 歯科医師免許取得後、5年以上継続して学会会員であること
- 学会指定研修機関において、5年以上矯正歯科研修を修了したもの
- 学会の認めた学術刊行物において、矯正歯科臨床に関する報告を発表したもの
- 学会倫理規定を遵守するもの
<専門医の基準>
- 日本矯正歯科学会・認定医の資格を有する歯科医師であること
- 10年以上継続して学会の会員であること
- 学会の定めた10種類の課題症例を自分で治療し、
なおかつそれら全ての治療結果が学会の定めた基準を満たして合格すること - 過去10年以内に学会の定めた刊行物、もしくは学術集会において矯正歯科に関する発表をしたもの
- 学会倫理規定を遵守するもの
この基準から分かるとおり、特に専門医になるのは矯正に慣れた医師でも難しく、
日本矯正歯科学会・専門医の資格を持つ医師なら、矯正におけるレベルの高さは保証されているでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、小児矯正と後戻りについてまとめます。
1. 小児矯正の流れ :第一期治療で顎の骨や歯並びの成長を整えて、第二期治療で本格的な矯正を行う
2. 後戻りで考えられるケース :保定装置を使っていない、歯を失っている、日常生活の癖に問題があるなど
3. 矯正の認定医・専門医について :とくに専門医は矯正治療におけるレベルが非常に高い
これらのことから、小児矯正と後戻りについて分かります。
信頼できる医師のもとで正しい治療を最後まで行えば、矯正で後戻りすることはありません。
そのため、子どもの時に小児矯正を受けるのは決して間違った選択ではないですし、
むしろ大人になってから矯正することに比べると、小児矯正の方がメリットは多いのです。