欠けた前歯の放置はNG?応急処置と治療法を解説!

「固いものをかんだ時に前歯が欠けてしまった」
「運動中の外傷で前歯が欠けてしまった」

前歯が欠けた(折れた)時の正しい対処法をご存じですか?

「痛みがないから」と放置してしまう方もいますが、適切な処置を取らずに放置してしまうと、以下のようなトラブルを引き起こす恐れがあります。

  • 時間の経過とともに痛みが増幅する
  • 虫歯になりやすくなる
  • 歯が脆くなる、歯の寿命が縮まる

このように多くの問題が発生するため、適切な応急処置を行い、早急な歯科医院の受診を推奨しています。当記事では、前歯が欠けた時の原因や応急処置、治療法について解説します。

前歯が欠けてしまう原因

前歯が欠ける原因は、「ぶつける」などの外傷以外にも複数あります。具体的な原因を見ていきましょう。

転倒・外傷(ぶつけた)

転倒や外部からの衝撃などで強い力が加わり、歯が欠けるケースです。具体的には、スポーツ中の衝突や交通事故、転倒などが挙げられます。

虫歯

虫歯が神経まで達してしまうと歯が脆くなり、歯が欠けることがあります。脆くなった歯の内部には、複数の空洞ができており、普段食べている硬いものを噛んだだけでも、歯が欠けてしまうのです。

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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりによって、歯が欠けることがあります。

睡眠中など無意識に発生する歯ぎしりや食いしばりは、1本の歯に体重の2〜5倍の力が加わるといわれています。例えば、体重60kgの成人男性であれば、1本の歯に120kg以上の負荷がかかるのです。

これだけの負荷が毎日かかっているので、当然、歯が欠けたり割れたりするリスクも高くなります。

酸蝕歯(歯が溶ける)

酸蝕歯(さんしょくし)とは、食べ物などに含まれる酸によって、歯が溶かされている状態のことです。歯の表面はエナメル質で覆われており、虫歯菌が歯の内部に入ってくるのを防ぐ役割があります。しかし、このエナメル質が溶かされることで虫歯になりやすくなるばかりか、歯が欠けやすくなってしまいます。

お酢やレモン、スポーツドリンク、炭酸飲料などを好んで摂取する方は、酸蝕歯になりやすいため注意が必要です。

硬いものを噛んだとき

硬いものを噛んだときに、歯が欠けるケースもあります。

しかし、このようなケースの場合、硬い食べ物が原因ではありません。通常、健康な歯が食事中に欠けることはほとんどないのです。先ほど説明した「虫歯」や「酸蝕歯」によって、歯が脆くなっているのが原因として考えられます。

そのため、食事中に歯が欠けてしまった場合は、すぐに歯科医院を受診するのがベストです。

前歯が欠けた(折れた)時の応急処置

前述の通り、転倒やスポーツ中の衝突によって前歯が欠けてしまうことがあります。前歯が欠けた、もしくは折れてしまった場合、どのような対処をすればよいのかをご説明します。

欠けた歯を触らない

欠けた歯の断面を触ってはいけません。断面が鋭利になっていることがあり、舌などで触るとケガをする可能性があります。欠けた歯を回収する場合は、歯の表面を持ちながら回収すると安全です。

欠けた歯を保存する

欠けた歯を回収した後は、適切な方法で保存します。歯の状態によっては、欠けた歯を元に戻せる可能性があるからです。

回収した歯を、水道水で洗ったり消毒液に漬けたりはしないでください。生理食塩水や牛乳につけて保存し、早急に歯科医院を受診するのが大切です。

できるだけ早く歯科医院を受診する

歯が欠けた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診してください。

前述した通り、欠けた歯を元に戻せる可能性もあります。また、神経が露出するほど大きく欠けている場合、細菌に感染する恐れもあります。迅速な処置を行うことで、リスクを最小限に抑えられます。

欠けた前歯を放置するのはNG

「前歯が少し欠けているけど、痛みもないし…」と、少し欠けた程度では放置してしまう方も多いです。しかし、欠けた歯を放置することで、下記のように多くのリスクを伴います。

  • 欠けた部分が目立ち、気になる
  • 神経が露出していると、強い痛みがでる
  • 正しく食べ物を噛めない
  • 発音がしづらくなる
  • 虫歯になりやすくなる
  • 粘膜を傷つける恐れがある
  • 歯の寿命が縮まる
  • 治療費が高くなる

欠けた歯を放置することで症状が悪化し、治療時間や費用も余計にかかってしまうことがあります。痛みの有無、欠けた歯の大小に関わらず、早急に歯科医院で治療を受けてください。

前歯が欠けた時の治療法

前歯が欠けた時の状態によって、治療法も異なります。欠けた歯を回収して元に戻す場合もありますが、可能性としては高くありません。欠けた歯を元に戻せない場合は、以下のような治療法で修復します。

小さく欠けた場合

まずは、歯が欠けた歯が小さい場合の治療法をご説明します。

コンポジットレジン

歯が欠けた部分が小さい場合、コンポジットレジンを使用して修復することが可能です。欠けた部分だけを修復するため、健康な歯を削らずに治療できる点がメリットです。ただし、セラミック素材や金属素材と比較すると強度は劣ります。

ラミネートベニア

ラミネートベニアとは、歯が欠けた部分を薄く削って形を整え、加工したセミラックを貼り付ける方法のことです。

コンポジットレジンと比較して、変色しにくいという特徴があります。また、周囲の歯と限りなく近い審美性を再現でき、長期的に白さを維持できるのもメリットの一つです。前歯の欠けた部分が小さい場合は、この治療法をおすすめします。

大きく欠けた場合

続いて、前歯が大きく欠けてしまった場合の治療法です。大きくかけた場合は、歯全体を被せる必要があります。被せ物には「保険適用の被せ物」と「自費の被せ物(セラミック)」があります。

保険適用の被せ物

保険適用の被せ物は費用を抑えられる一方で、審美性や耐久性は低いという欠点があります。

保険適用の被せ物を長期間使用すると、プラスチックが変色したり、すり減ったりします。そのため、前歯のような目立つ箇所には、次に説明する「セラミック素材」の被せ物がおすすめです。

セラミックの被せ物

セラミックの被せ物には、下記のような特徴があります。

  • 審美性に優れている
  • 強度や耐久性がある
  • 金属不使用で安全性が高い

セラミック素材は、周囲の健康な歯と色を合わせやすい特徴があるため、違和感なく美しい仕上がりが可能です。特に、前歯は最も目立つ箇所になるので、より自然な仕上がりを求める方にはセラミックをおすすめしています。

神経の露出が見られる場合

歯の神経を残すことができれば、神経を保護した状態で被せ物をします。

神経を残せないと判断された場合は、細菌に感染した神経を除去する根管治療を行った上で、被せ物で修復します。この時、前述のセラミック素材を使用すれば、より自然な仕上がりを実現することが可能です。

なお、神経を残せるかの判断は、歯科医師によって変わります。根管治療は高度な技術を要するため、すべての歯科医院が対応しているわけではありません。当院では、マイクロスコープやラバーダム防湿を用いて、より精密で正確な治療を実践しています。まずは、当院までご相談ください。

前歯が根元から折れた場合

歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)より下まで破折している場合、歯を残すことは難しく、抜歯になります。抜歯後に放置してしまうと、噛み合わせが悪くなり、さらに歯を失う原因にもなるので注意が必要です。

噛み合わせを安定させるために、入れ歯インプラントなどの治療法を選択することになります。

前歯が欠けた場合のよくある質問

ここでは、前歯が欠けてしまった場合のよくある質問にお答えします。

前歯が欠けてしまいました。どうすればいいですか?

痛みの有無や欠けた歯の大小に関わらず、できるだけ早く歯科医院を受診してください。放置すると強い痛みが生じたり、口腔内の粘膜を傷つけたりする恐れがあります。

すぐに歯科医院に行けない場合は?

細菌が入って悪化する恐れがあるため、欠けた歯を手や舌で触らないようにしましょう。また、歯の状態によっては修復することができるため、欠けた歯を生理食塩水や牛乳につけて保存し、歯科医院を受診してください。

欠けた歯の治療には、どのような方法がありますか?

欠けた歯の治療方法は、欠けた部分の大きさで変わります。例えば、欠けた部分が大きければ、欠けた歯全体を被せる必要があります。

保険適用の被せ物とセラミックの被せ物がありますが、保険適用は時間の経過で変色したり摩耗したりします。審美性や機能性を考慮して、セラミックを選択される患者様も多いです。

まとめ

本記事では、前歯が欠けた時のの応急処置と治療法についてお伝えしました。前歯が欠けた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診してください。歯科医院を受診せずに放置してしまうと、虫歯のリスクが高くなったり、歯の寿命が縮まったりします。

当院では、患者様の歯の状態に合わせた最適な治療をご提案しており、審美性・機能性の両面を考慮した治療に対応しております。初台近くで欠けた歯の治療を行いたい方はお気軽にご予約ください。