前歯が閉じないのは開咬のせい?原因・治療法を解説

「前歯が閉じない」と感じることはないでしょうか?

前歯が閉じない歯並びのことを「開咬」と呼びます。

当ページでは、開咬の原因・治療法などを詳しく解説します。

開咬(前歯が閉じない状態)とは?

開咬(かいこう)とは、「オープンバイト」とも呼ばれる上下の前歯がきちんと閉じない歯並びの状態を指します。

開咬の状態は、奥歯は正常に噛み合っているものの、前歯は噛み合わず隙間ができてしまいます。そのため、口を閉じても前歯の間にスペースができるのが特徴です。

開咬の問題点としては、食事をする際に前歯でしっかりと噛むことが難しくなるため、日常生活にさまざまな影響を及ぼすことが挙げられます。

また、開咬は見た目にも影響を及ぼすことがあり、面長に見えたり唇が閉じづらかったりと、外見の印象を左右してしまう可能性があります。

とはいえ、開咬は、適切な歯科治療によって改善が可能です。「自分の歯並びは開咬かもしれない」と思ったら、なるべく早めに歯科医師に相談することが大切です。

開咬による悪影響・知っておくべきリスク

開咬が軽度な場合には日常生活に支障がないと考え、治療をせずに放置してしまう人が意外と多いです。しかし、開咬を治療せずに放置すると、以下のようなリスクを伴います。

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

咀嚼力が低くなり消化不良を起こしやすい

開咬の状態では前歯で食べ物をうまく噛み切ることが難しく、食べ物を十分に細かく噛み砕くことができません。食べ物が細かくならず、塊のまま胃に達すると胃酸で分解するのに時間がかかり、胃の不快感や膨満感を感じることがあります。

結果として、消化器官にかかる負担が増え、消化不良や胃腸の不調を引き起こすリスクが高まります。また、食べ物を十分に噛むことができないため、栄養素の吸収が不十分になることも考えられます。

特に、繊維質の多い食品や硬い食べ物を十分に噛み砕くことができないと、消化器官での栄養素の分解と吸収が効率的に行われず、栄養不足につながる可能性があります。

長期的な栄養不足は、全身の健康状態にも影響を及ぼし、体力の低下や免疫力の低下につながることも考えられます。

奥歯や顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが高まる

開咬の状態では、前歯が食べ物を噛み切る役割を果たせないため、奥歯がその負担を引き受けます。

当然、硬い食べ物を噛む際などに奥歯にかかる圧力が通常よりも高くなり、繰り返されることで摩耗し、割れや欠けの原因となります。

また、通常の噛み合い時には前歯と奥歯がバランスよく力を分散させますが、開咬の場合はバランスが崩れ、顎の関節にも過度なストレスが掛かります。

長期的に続くと、顎の関節や周囲の筋肉に炎症や損傷が生じる顎関節症のリスクが高まり、

  • 口を開くと顎が痛む
  • 口が開きづらくなる
  • 顎からガクガク音がする

といった、さまざまな長期的な痛みや機能障害を引き起こす症状が現れる可能性があります。

発音・滑舌に影響が出る

開咬の状態にある人は、「サ行」や「タ行」などの特定の発音が難しく感じることが多いです。

通常、発音時には前歯が舌の動きを助ける役割を果たしますが、開咬の場合には前歯がきちんと閉じないため、舌の動きが制限されて言葉がはっきりと発せられないことがあります。

開咬になるのはなぜ?3つの主な原因

そもそも開咬になってしまうのはなぜでしょうか。ここからは、開咬になる主な原因を3つ解説していきます。

子供時代の習慣・クセ

開咬の主な原因の一つとして、子供時代の習慣やクセが挙げられ、中でも下記の習慣が大きく影響しています。

指しゃぶりの習慣

幼少期に続く指しゃぶりは、前歯に圧力をかけ、開咬を引き起こす原因となります。特に3歳を超えても続く指しゃぶりは歯並びに悪影響を及ぼす可能性が高く、注意が必要です。

舌の癖

舌を前歯に押し付ける癖や、舌を突き出す癖があると開咬の原因になります。舌の位置が不適切な状態が続くと、前歯に圧力がかかり歯並びが乱れてしまうのです。

口呼吸の影響

長期的な口呼吸も開咬の原因です。鼻呼吸が困難な場合、口呼吸が習慣化し、これが歯並びに影響を及ぼすことがあります。

将来的な歯並びの問題を防ぐためには、このような子供時代の習慣やクセが開咬の原因となることを理解し、早めの対策を講じることが重要です。

遺伝によるもの

開咬の歯並び形成には遺伝的な要素が関与しているとされています。

そのため、両親や祖父、祖母などが開咬の歯並びだった場合、子供も開咬につながる可能性があると言えます。

しかし、開咬は家族に傾向が見られる場合であっても、遺伝的な要素だけでなく、さまざまな要因が組み合わさって生じる現象です。

遺伝的な要素は開咬の1つの原因として考慮されるべきですが、それだけが全てではありません。家族内で開咬が見られる場合でも、個々の生活習慣や環境とも関連していることが多いです。

遺伝的な要素が開咬に影響を与える可能性があると認識しつつも、それが開咬の1番の原因ではないことを理解することが重要です。

とはいえ、家族の中で開咬の傾向がある場合は、早期の対策や矯正歯科での相談を検討することが推奨されます。

呼吸器系の疾患

開咬の原因の一つとして、呼吸器系の疾患が関与していることが挙げられます。

特に、鼻炎や蓄膿症などの疾患がある場合、慢性的に鼻がつまることで普段から口呼吸をする癖がついてしまうもの。口呼吸が習慣化すると、唇や口腔内の筋肉のバランスが崩れ、開咬の原因となります。

そのため、呼吸器系の疾患がある場合は、開咬のリスクを減らすためにも、まずは鼻炎や蓄膿などの疾患を早めに治療することが重要です。特に、子供の成長期においては、これらの疾患に対する早期の対応が開咬の予防につながります。

開咬は直せる?状態ごとの治療法

開咬は軽度か重度かによって治療方法が異なります。それでは、具体的にどのような治療をしていくのか解説いたします。

軽度であれば歯列矯正

軽度な開咬の場合には、歯列矯正が効果的な治療方法です。歯列矯正は前歯の位置を調整し、噛み合わせを改善することを目的として行います。

方法としては、クリアブラケットやワイヤーを用いた矯正が一般的です。矯正器具を歯の表面または裏側に貼り付けて、矯正力をかけて前歯の位置を徐々に調整していきます。

矯正により、正しい噛み合わせへと改善され、発音や食事のしやすさが向上します。特に、前歯で食べ物を噛み切ることが難しかった人には、大きな改善な期待できます。

治療期間については個人差があり、症状の程度によって異なりますが一般的には数ヶ月から数年に渡ることが多いです。もちろん、治療中は定期的な歯科医師のチェックと装置の調整を行います。

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骨格変形が強い場合には外科手術を伴う

骨格による開咬の改善には、外科手術が必要な場合があります。外科手術は主に顎の切断と再配置という手法で、顎を正しい位置に再配置して正しい噛み合わせを確立することが目的です。

手術後は、矯正治療を併用して最終的な噛み合わせを調整していきます。もちろん、手術にはリスクや合併症が伴う可能性があるため、事前に十分な説明を受けなければなりません。

外科手術を伴う治療は、開咬が進行している場合や骨格変形が著しい場合に検討されます。歯科医師との十分な相談を通じて、手術に関する情報を理解し、納得がいく治療計画を立てることが重要です。

前歯が閉じた状態を維持するための筋機能トレーニング

筋機能トレーニングは、開咬の根本的な原因にアプローチする治療方法です。このトレーニングは、口周りの筋肉、特に唇や頬の筋肉を強化し、バランスを整えることに焦点を当てて開咬の改善を目指します。

また、矯正治療後の安定期にも歯並びや噛み合わせを維持するために筋機能トレーニングが欠かせません。

以下に、筋機能トレーニングの一例をご紹介します。

唇や頬の筋肉バランスの改善

唇や頬、口の周りの筋肉のバランスを良くするための訓練を行い、歯並びや噛み合わせの改善をサポートします。

舌の位置の調整

正しい舌の位置を維持するトレーニングを行い、舌の癖を改善します。これは、開咬の原因となる舌の不適切な位置を修正するのに役立ちます。

嚥下(のみこみ)動作の改善

正しい嚥下動作を行うためのトレーニングを実施します。食事際の舌や唇の使い方を直し、開咬の改善を目指します。

発音・発声の練習

発音や発声時の口腔筋肉の使い方を改善するトレーニングを行います。口腔筋肉のバランスを整え、開咬に関連する発音の問題を解決するのに有効です。

専門家の指導のもと、個々の状態に合わせたトレーニングプログラムを組んでいきます。自宅での継続的な練習を通じて、筋肉のコントロールを徐々に向上させることが可能です。

開咬の治療には矯正治療も大切ですが、筋機能トレーニングの継続的な実施も長期的な改善と安定化に欠かせません。

開咬を治療するメリット

開咬の治療をすることで、見た目の改善だけでなく、健康や人生の充実感にも大きく影響します。それでは、開咬を治療するメリットについて見ていきましょう。

健康な歯を維持できる

開咬の治療をすることで、噛み合わせの改善を通じ、歯の健康を長期間保つことが出来ます。

例えば、治療によって前歯と奥歯がしっかりと噛み合うようになり、食べ物を均等に噛むことが可能になります。これにより、一部の歯に過度な負担がかかることを防ぎ、歯の摩耗や破損のリスクを減らすことが可能です。

また、しっかりと噛むことで唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病の原因となる細菌の洗い流しや中和が効果的に行われます。

さらに、適切な噛み合わせは、食べ物の細かい咀嚼ができるので、消化吸収を助けることで全身の健康にもつながります。健康な歯を維持することで、将来的な歯科治療の必要性を減らせることにも期待ができるでしょう。

身体的な不調も改善されるのでストレスが軽減される

正しい噛み合わせは、顎関節症の症状を和らげ、顔や首周りの筋肉の緊張を解消します。

開咬の治療をすることで、顎の関節や筋肉への過剰な負荷が減少し、頭痛や肩こりの軽減が期待できます。

結果として、日常生活におけるストレスが減少するため、より充実した日々を過ごせるはずです。さらに、効率的な咀嚼ができるようになれば消化器官も改善され、全体的な健康状態を高める効果も期待できます。

「前歯が閉じない・開咬」についてよくある質問

ここからは、前歯が閉じない状態「開咬」に関するよくある質問をまとめ、解説していきます。

子供の開咬は自然に治る?

子供の開咬が自然に治るかどうかは、原因によって異なります。

舌の癖や指しゃぶりなどの習慣が原因である場合、これらの習慣が改善されれば、開咬も自然に改善する可能性があります。

しかし、骨格的な問題が原因である場合、自然治癒は難しく、専門的な治療が必要になることが多いです。いづれにせよ、自分での判断はせず、早期に適切な診断を受けることが重要です。

開咬の治療期間はどのくらい?

開咬の治療期間は、個々の状態や治療方法によって大きく異なります。

一般的には、矯正治療を含む場合、数ヶ月から数年かかることが一般的です。

軽度の開咬であれば比較的短期間での治療が可能ですが、骨格的な問題が関係している場合は、より長期間の治療が必要になることがあります。

開咬は自分で治すことができる?

開咬を自分で治すのは困難です。特に骨格的な問題が原因の場合、専門的な治療が必要です。

一部の軽度の開咬では、マウスピースの使用などで改善が見られることもありますが、自己判断での治療は避け、必ず矯正歯科医の診断と指導のもとで行うべきです。誤った自己治療は、状態を悪化させるリスクがあります。

まとめ

今回は前歯が閉じない状態、開咬(オープンバイト)について解説を行いました。前歯が閉じない開咬とは、前歯部分が正しく噛み合わず、隙間ができている状態を指します。

開咬になってしまうのにはさまざまな原因がありますが、主に舌の癖や遺伝的要因、長期の口呼吸などによって引き起こされることが多いです。

この状態になると、噛み合わせの問題を生じさせ、発音の難しさや口腔衛生の悪化などさまざまな悪影響をもたらす可能性があります。問題のある歯並びは他にもありますが、中でも開咬はすぐにでも改善するべき問題です。

治療方法としては、矯正治療や筋機能トレーニング、場合によっては手術といった選択肢が検討されます。適切な治療を受けることで、これらの問題を効果的に解決し、健康な口腔環境を保つことが可能になります。

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