虫歯で抜歯が必要な状態とは？抜歯のリスクと治療法

虫歯があると「歯を抜かないとダメなのか」と不安になるのではないでしょうか。

そこで本記事では、抜歯が必要な虫歯の状態と抜歯するリスク、抜歯後の治療法をご紹介します。

「抜歯が必要なのか知りたい」「歯科医師の選び方を知りたい」という方は、ぜひご覧ください。

抜歯が必要な虫歯の状態

まずは抜歯が必要な虫歯の状態からご紹介します。

歯根まで虫歯があり保存が難しい

抜歯が必要な虫歯は、歯根（歯の根っこ）まで虫歯があり歯を残すのが難しい状態です。

虫歯は歯の表面から始まり、徐々に歯の内部、歯根に進んでいきます。

虫歯は状態によってC0～C4の5段階に分けられ、抜歯が必要な歯は最も重いC4の状態です。

• C0：歯の表面（エナメル質）が溶かされた状態
• C1：歯の表面に小さな穴が開いた状態
• C2：象牙質まで進行した状態
• C3：歯の神経まで到達した状態
• C4：歯の神経が死んでしまい歯根まで虫歯が達した状態

C4の状態で細菌に感染すると、歯根に膿がたまり、全身の健康に悪影響を及ぼすことがあるため抜歯が必要です。

根管治療をしても虫歯を繰り返す

根管治療をして虫歯を繰り返す場合も、抜歯が必要となるケースです。

根管治療とは、歯の神経を取り除く治療のことで、虫歯が歯の神経まで達した時に必要に応じて選択されます。

ただし、根管治療は高度な技術が必要な治療であり、根管治療をした後は虫歯の再発率が高い傾向にあります。

そのため、根管治療で虫歯を繰り返す場合には、抜歯を選択されることも少なくありません。

歯科医院の設備や技術力によっては、精度の高い根管治療を受けることができ再発も予防できます。

虫歯を抜歯するリスク

虫歯を抜歯するリスクをご紹介します。

歯の免疫力が低下する

天然の歯の周りには多くの毛細血管があり、その中には免疫細胞が存在しています。

しかし、天然の歯を抜歯すると、毛細血管も免疫細胞も存在しなくなるため、歯の免疫力が低下するリスクがあります。

つまり、天然の歯があるだけで、あらゆる細菌から歯と歯の周囲を守ることができている状態なのです。

以前の歯科治療は「虫歯は取り除く」が当たり前でしたが、今では「可能な限り歯は残す」ことを目指しています。

しっかり噛めなくなる

虫歯を抜歯すると、しっかり噛めなくなるため、食事や噛み合わせに悪影響を及ぼすリスクがあります。

具体的には以下のようなリスクがあります。

• 食事が楽しめない
• 食事が細かくならないため胃腸の消化吸収が悪くなる
• 空いたスペースに隣の歯が寄る
• 歯並びが悪くなる

そのため、ブリッジや入れ歯、インプラントで抜歯した歯を補うことが必要です。

顎の骨が痩せる

抜歯すると歯を支えていた顎の骨が痩せていき、歯ぐきが下がって頬がこけていきます。

フェイスラインに影響が出やすく、老けて見える原因となりやすいです。抜歯した部位によっては、シワができることもあります。

ブリッジや入れ歯、インプラントで補うことで顎の骨が痩せていくことを防ぐことができ、若々しい見た目を保てます。

今後の治療法が限られる

抜歯をするとブリッジや入れ歯、インプラントで補いますが、補った後に問題が起きた時は治療法が限られます。

歯はこれから何十年も付き合っていくものであり、その場しのぎの抜歯ですと、後悔することになりかねません。

先のことを見据えて可能な限り歯を削らない、抜かない治療を選択するのは重要です。

また、各治療で失った歯を補った後は、すべて継続的なメンテナンスが必要です。

抜歯後の治療法

できる限り天然の歯を残したいものですが、歯の状態によっては抜歯を選択せざるを得ないこともあります。

抜歯後の治療法は、ブリッジ・入れ歯・インプラントの3つがあります。

それぞれ詳しくご紹介します。

ブリッジ

ブリッジとは、両隣の健康な歯を削って土台とし、人工の歯を橋渡しのように被せる治療法です。

健康な歯を削る必要があるため、その歯の寿命を縮めてしまうことが大きな懸念点です。

メリットをご紹介します。

デメリットは以下のとおりです。

• 健康な歯を削る必要がある
• 土台となる歯の虫歯のリスクが高まる
• 治療部位によっては銀歯になるため目立つ
• ブリッジの寿命は5～10年と長くない

健康な歯をできるだけ長く保つためにも、ブリッジは慎重に検討する必要があります。

関連記事：ブリッジのメリット・デメリット！入れ歯やインプラントと何が違う？

入れ歯

入れ歯は失った歯を補える、取り外し可能な装置です。

1本から複数本の抜歯した部位に対応でき、残っている歯に引っ掛けてはめ込みます。

メリットをご紹介します。

• 保険適応の入れ歯があり費用が安く済む
• 残っている健康な歯を削らなくてよい
• 治療期間が比較的短い
• 取り外して修理ができる

デメリットは以下のとおりです。

• 保険適応の入れ歯は金具が見える
• 思い切り噛めず食事が楽しめない
• しゃべりにくい
• 違和感や不快感がある
• 取り外して洗浄をしなければならない

入れ歯には、保険適応と自費の入れ歯があります。

自費の入れ歯は種類がさまざまで、金属の留め具を使わない自然な見た目を再現できるものや、違和感が少ないものもあります。

抜歯後に入れ歯を検討されている方は、入れ歯の治療法が豊富な歯科を選ぶと安心です。

関連記事：当院の入れ歯治療

インプラント

インプラント治療とは、チタン製の歯根を埋め込んで土台とし、その上に人工歯を被せる治療です。

健康な歯を削ったり、歯に引っ掛けたりする必要がないので、健康な歯を守れる治療法といえます。

メリットをご紹介します。

• 固い食べ物でもしっかり噛める
• 見た目が本物の歯のよう
• 周囲の歯を削らなくてよい
• 違和感や不快感、しゃべりにくさもない
• 取り外す必要がない

デメリットをご紹介します。

• 保険適応外のため費用が高い
• 治療期間が比較的長い
• 手術が必要なため身体的な負担がある
• インプラント周囲炎のリスクがある

インプラント治療は費用が高いなどのデメリットがありますが、それ以上に得られるメリットが多くあることから選ばれています。

身体的な負担はありますが、麻酔をするため痛みに最大限配慮し、手術をした当日に帰宅できます。

また、インプラント周囲炎は日ごろのブラッシングと歯科でのメンテナンスで予防可能です。

安易に虫歯を抜歯するのは危険

歯科医院で診察を受け「抜歯が必要」と言われたからといって、安易に虫歯を抜歯するのは危険です。

歯を補う治療法があっても、やはり天然の歯に勝る歯はないからです。

「抜歯が必要」と言われても歯を残せる可能性があります。

歯を残せる可能性がある理由をご紹介します。

抜歯が必要か不要かは歯科医院によって判断が異なる

抜歯が必要な虫歯の状態は、歯根まで虫歯が達している状態と、根管治療をくり返す場合ですが、見極めるのは歯科医院の知識と技術力次第です。

歯科医院によって対応できる治療と対応できない治療があり、対応できない治療の場合は「抜歯が必要」と言われやすいです。

残念な話ですが、その場しのぎの治療やインプラント治療に特化した歯科医院ですと、歯を抜くことに着目しがちです。

ある歯科医院で「抜歯が必要」と言われても、別の歯科医院にかかると抜歯をしなくてもよいケースがあります。

歯科医院を予約する前に、ホームページにて重度の虫歯でも歯を残す治療ができるかを確認しましょう。

根管治療の技術力は歯科医院によって差がある

根管治療は虫歯の再発率が高い治療と言われていますが、歯科医院によって技術に差があります。

根管治療の実績があるのか、ホームページにて確認すると安心です。

また、根管治療をする部位は肉眼ではしっかり確認できないため、細部まで確認できるマイクロスコープが備わっている歯科医院ですと安心です。

マイクロスコープは根管治療において必須の設備ではないため、設備していない歯科医院もあります。

抜歯を提案されたらセカンドオピニオンを考えるのも大切　

歯科医院にて虫歯の抜歯を提案されたら、一旦治療は保留にしておき、セカンドオピニオンを検討しましょう。

というのも、他の歯科医院であれば、歯を保存できる治療や精度の高い根管治療ができる可能性があるからです。

抜歯が必要と言われると、ショックを受けて冷静に考えられず治療計画に同意してしまうかもしれません。

また、歯科医院と患者様という関係上、治療を断りづらいということもあるでしょう。

しかし、勇気を持って「考えたいです」と一言お伝えいただければ、歯科医院も無理に治療は進めませんし、患者様は納得のいく治療ができます。

抜歯が必要かもと虫歯で悩んでいる人へ

虫歯の状態によって抜歯の必要・不要は異なるため、歯科医院にて検査を受ける必要があります。

状態によっては抜歯になるケースがありますが、失った歯を補う治療ができます。

しかし、天然の歯に勝るものはありません。

重度の虫歯でも歯を残す治療ができるのか、まずは歯科医院のホームページなどで確認しましょう。

当院では歯を残す治療を優先しています

当院では重度の虫歯にも対応しており、まずは歯を残す治療を優先しています。

歯はこれから先、何十年も付き合っていくものであり、長い目線で考えた治療計画が必要です。

虫歯になっている歯を残せる可能性があるかもしれませんので、ご気軽に当院までご相談ください。

また、仮に抜歯になったとしても、ブリッジ・入れ歯・インプラント治療にも対応しております。

経験豊富な専門医と技工士が協力し、患者様のご希望をお伺いしながら、口腔内の状態に合わせた治療を行います。