新宿初台の歯医者さん、岡歯科医院です。
今回のテーマは「顔や頭に装着する矯正装置」です。
矯正の治療方法は、全ての患者さんが全く同じというわけではありません。
矯正を開始する時期、歯並びの状態、患者さんの年齢など、
様々な点を考慮した上で歯科医が最適な治療方法を提案するものです。
例えば、子供の矯正においては顔や頭に装着する矯正装置を提案するケースもあります。
矯正装置と言えば、歯に装着する金属の装置を連想する人が多いと思います。
子供の矯正で使用する顔に装着する矯正装置はフェイシャルマスクと呼ばれるもので、
主に永久歯の生え変わりの時期である7歳~13歳の子供の矯正で用いられます。
額と顎につけた装置の間にワイヤーがついており、このワイヤーが上顎を前方に引っ張ります。
下顎が動くことで上顎が前方に引っ張られる構造になっており、上顎の成長の促進、
下顎の成長の抑制の効果によって上下の顎のバランスを調整するのが目的です。
「上顎の成長の促進と下顎の成長の抑制」という効果から連想できるとおり、
反対咬合…つまり受け口の改善の治療において使用します。
受け口の場合、その多くは上顎の状態の悪さが原因になっています。
上顎の成長が悪い、もしくは上顎が正常な位置よりも後ろにあるなどのケースであり、
また下顎が大きすぎることが原因で受け口になるケースもあります。
フェイシャルマスクはこれらの症例において使用、上顎の成長促進や歯列全体の前方への移動を行います。
フェイシャルマスクは構造上、自分で取り外し可能です。
ただし必要な装着が決められており、それは必ず守るようにしてください。
一般的な装着時間には個人差があるものの、毎日12時間以上の装着を必要とするケースが多いです。
時間だけで考えれば12時間は長いですが、睡眠中に装着することで起床時の装着時間を減らせます。
また、スポーツや運動する場合はケガに注意する必要がありますし、
装着によって痛みが続くようであれば我慢せずに歯科医に相談してください。
ヘッドギアは子供の矯正で使用する補助的な装置であり、
骨格的な上顎前突…つまり出っ歯の改善の治療において使用します。
矯正装置の構造としては、まずヘッドギアと連動した矯正装置を口の中で固定させます。
そして、上顎に後方への力を加えて上顎の成長を抑制します。
また上の歯を正常な向きに変えるなど、効果としてはフェイシャルマスクと逆とイメージすると良いでしょう。
受け口の改善を目的としたフェイシャルマスクに対して、ヘッドギアは出っ歯の改善を目的としており、
適用できる年齢は子供が主となりますが、それができるかできないかの判断は状態次第です。
上記で少し触れたとおり、ヘッドギアは出っ歯の改善が目的です。
出っ歯とは上顎前突の文字が示すとおり、上顎が大きすぎるのが原因です。
そこでヘッドギアによって上下の顎の位置を調整、これによって上顎の成長抑制が可能です。
ちなみに、出っ歯の原因として骨格的なものではない…すなわち歯並びそのものが原因の場合もありますが、
この場合においてもヘッドギアで上顎の奥歯を後方に動かして出っ歯の改善を行います。
また、歯列全体の矯正で上の前歯を後退させる必要がある場合、従来の矯正装置と併用することもあります。
ヘッドギアは自分で取り外し可能ですが、毎日10時間以上の装着が必要です。
最も、正確な装着時間には個人差があるものの、充分な時間の装着が必要と考えてください。
ただし睡眠中の装着も可能なため、装着のタイミングを考えれば学校で装着する必要はなくなります。
装着時は奥歯に痛みを感じることがありますし、食事や発音がスムーズにできないこともあるでしょう。
これらは通常3日ほどで慣れますが、あまり長く痛みや違和感が続くようなら歯科医への相談が必要ですし、
ヘッドギアの破損や変形には充分注意しなければなりません。
いかがでしたか?
最後に、顔や頭に装着する矯正装置についてまとめます。
1. フェイシャルマスクについて :顔に装着する装置で、主に7歳~13歳の子供の矯正で使用する
2. フェイシャルマスクを使用する症例 :受け口(反対咬合)の改善
3. フェイシャルマスクの注意点 :1日12時間以上の装着が必要で、ケガに注意しなければならない
4. ヘッドギアについて :頭に装着する装置で、適用できる年齢は子供が主になる
5. ヘッドギアを使用する症例 :出っ歯(上顎前突)の改善
6. ヘッドギアの注意点 :1日10時間以上の装着が必要で、ヘッドギアの破損や変形に注意しなければならない
これら6つのことから、顔や頭に装着する矯正装置について分かります。
歯並びが悪いと言ってもその状態は様々で、症例に合わせた矯正装置の装着が必要です。
フェイシャルマスクやヘッドギアは一見物々しく見えるため、装着に抵抗があるかもしれません。
しかし、装着のタイミングを間違えなければ、通学を含めた外出時には外すことができますから、
矯正装置の見た目だけで考えず、まず歯科医とよく相談することが大切です。