矯正では抜歯は絶対に必要ですか?
新宿初台の歯医者さん、岡歯科医院です。
今回のテーマは「矯正における抜歯」です。ぜひご愛読ください。
矯正では矯正装置の装着を嫌う人が多いですが、同様に抜歯を嫌う人も多いですね。
そもそも、歯並びを整えるための治療でなぜ歯を抜く必要があるのでしょうか。
患者さんからすれば、歯を抜くぐらいならその歯も矯正して綺麗に並べたいと思うかもしれません。
そこで、ここでは矯正における抜歯の必要性とその理由について説明します。
抜歯の目的
矯正で抜歯をする目的は、歯を並べるスペースを確保するためです。
歯並びが悪いというのは、例えるなら4人掛けのソファに5人掛けている状態であり、定員オーバーしているため綺麗に並んで掛けられないのです。
この場合、ソファの買い替え以外の解決方法はただ一つ、人数を減らすしかありません。
4人掛けのソファがそのままである以上、ソファに掛ける人数を5人から4人に減らすしか方法はなく、この例に従って行うのが矯正における抜歯です。
つまり、矯正で抜歯が必要な理由は「歯を正常に並べるだけのスペースを確保するため」であり、歯を並べる土台を広げることができない以上、歯の数を土台にあわせるしかないのです。
前述したソファの例で考えると、矯正における抜歯の目的・必要性をイメージしやすいでしょう。
抜歯をする可能性
矯正を希望した患者さんに抜歯が必要なのかは、診断してみないことには分かりません。
例えば、わずかなスペースの確保で矯正可能と診断された場合、抜歯ではなく歯を削ることでスペースを確保できるケースもあるのです。
当然、歯並びの状態が悪くて凸凹しているほど抜歯が必要になる可能性が高いですし、歯だけでなく前歯を覆っている唇の大きさも関係してきます。
もっとも、歯科医院によって非抜歯で矯正することを謳っているところもあります。
しかし、そのような歯科医院で矯正を受けるのは医師としてすすめられず、無理に非抜歯で矯正してしまえば治療の成果に影響する可能性があるからです。
非抜歯で矯正するのは、あくまで非抜歯で矯正できると診断された場合に限られます。
無理に非抜歯で矯正した場合
受け口であることは病気ではなく、虫歯・歯周病のように治療が求められるものではありません。
「無理に非抜歯で矯正すると治療の成果に影響する」と前述しましたが、具体的に次のような問題が起こる可能性があります。
問題1. 口元の見た目が悪くなる
歯を無理やり並べれば、並びきらない歯が外側に飛び出してしまいます。
そうなると、口を閉じても口元が前に出て口元の見た目が悪くなってしまうのです。
また、その影響で口が閉じられないと口呼吸になってしまいます。
問題2. 後戻りしやすい
後戻り自体は、正常に矯正を行ったとしても避けられない問題ですが、
無理に非抜歯で矯正した場合はより後戻りが起こりやすくなってしまいます。
これは、無理やり歯を並べているため、歯が元の位置に戻ろうとする力が強く働くためです。
小児矯正がすすめられる理由
矯正開始のタイミングとして、「大人ではなく子供の時に矯正した方が良い」という意見を持つ医師が多いですが、これは今回のテーマでもある“抜歯の必要性”が大きな理由となっています。
というのも、小児矯正では「非抜歯で矯正できる確率が高い」がメリットとして挙げられるからです。
説明したとおり、矯正で抜歯を行う目的は歯を正常に並べるためのスペース確保ですが、成長期の子供が矯正することで顎の成長を正常な方向へと促すことができるのです。
顎とは歯を並べる土台であり例えるならソファ…前述した例でいうなら5人掛けのソファを作ることができます。
そのため非抜歯で矯正しやすく、大人に比べて抜歯が必要になる確率が格段に減少するのが小児矯正のメリットです。
ちなみに、大人の場合は年齢的に見ても成長期を終えているため、顎の状態を変えることはできません。
治療の過程で正常な土台を作り出せるのは、小児矯正ならではのメリットといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、矯正における抜歯についてまとめます。
1. 抜歯の目的 :歯を正常に並べるスペースを確保するのが目的。抜歯をすればその分だけスペースが生まれる
2. 抜歯をする可能性 :歯並びや唇の状態次第。ただ、無理に非抜歯で矯正すると治療の成果に影響してしまう
3. 無理に非抜歯で矯正した場合 :口元の見た目が悪くなる、後戻りしやすいなどの問題が起こる可能性がある
4. 小児矯正がすすめられる理由 :小児矯正では顎の成長を正常に促せるため、非抜歯で矯正しやすくなる
これら4つのことから、矯正における抜歯について分かります。
矯正は歯を正常に美しく並べる治療であり、そのためのスペースが不足している場合に抜歯を行います。
つまり、矯正における抜歯とは歯を並べるためのスペースを確保するのが目的であり、無理に非抜歯で矯正してしまえば「口元の見た目が悪くなる」・「後戻りしやすい」などの問題が起こります。
そして、実際に抜歯が必要なのかは診断してみないことには断言できません。